【追悼】Paco de Luciaが残したルンバ曲の幾つかを振り返る

2014年2月25日。フラメンコギター界、いやフラメンコ全体、いや音楽に関わる全ての人にとって大きな財産を失うことになりました。

Paco de Lucia死去。

その突然のニュースにしばし呆然としてしまいました。
まだ66歳。亡くなるには早すぎる。
しかし運命には逆らえない。
今はただただ安らかな眠りを願うばかりです。

彼が残した功績を振り返ると、改めてその偉大さに気付かされることが多いです。
フラメンコとPaco de Luciaの関わりについては、もはや伝説となるような出来事が多々あります。
では「Rumba」という形式に限ってはどうでしょうか?

ルンバ・フラメンカという形式に新たな風を吹き込むに至った幾つかの足跡をたどってみたいと思います。

エレキベースやラテン打楽器を取り入れたまったく新しいフラメンコ

Paco de Luciaのルンバ曲で有名なのは1975年に発表された「Entre dos Aguas」ではないでしょうか。

これまでフラメンコの打楽器と言えばパリージョ(カスタネット)かパルマにサパテアードなど「人間の手足」そのものが音を発していました。
ある意味それは「民族音楽」としてのフラメンコの固定概念だったのかもしれないけど、Pacoはそれにとらわれることはありませんでした。

「Entre dos Aguas」ではエレキベースやラテンの打楽器を多用して当時としては斬新なコラボレーションを実現しています。

Paco de Lucia – Entre dos aguas (1976) full video

「カホン」を初めて取り入れた音楽家

Paco de Luciaが初めてフラメンコに取り入れた打楽器と言えば「カホン」

Pacoが自らのバンド「パコデルシア・セクステット」のツアー中、南米のペルーを訪れた際に、初めてこの打楽器がライブで使用されました。
今では楽器屋などに行けば必ず置いてあるほどメジャーな打楽器となったカホンですが、Pacoがこの時ライブに取り入れなければこれほど世界的な広まりは見せなかったはずです。

カホンはルンバのみならず、フラメンコのショーやスタジオ録音などでも頻繁に使われるようになり、フラメンコに欠かすことのできない打楽器として定着しました。

Paco de Luciaの2010年のライブで演奏されたルンバ形式の曲にもカホンは定番楽器としてリズムを刻んでいます。(ルンバというよりはもはやフュージョンみたいだ・・。)

Paco de Lucia – Palenque (Rumba) Montreux 2010

伝説のギタートリオによるルンバのアレンジ

時代は前後しますが、Paco de Luciaが関わったルンバの曲で伝説ともなっているのがJohn McLaughlinとAl di Meolaという2大ギタリストとのセッションで演奏された「地中海の舞踏(Mediterranean Sundance)~広い河(Rio Ancho)」のメドレー。

超絶技巧を持つ二人のフュージョン&ジャズギタリストを相手に、まともに渡り合えるフラメンコギタリストはPaco以外にはいなかったことでしょう。

PACO DE LUCIA , John McLaughlin , AL DI MEOLA

1980年に米サンフランシスコで録音されたこのライブ音源は「スーパーギタートリオ・ライブ」としてアルバム化され、世界的に大ヒットします。

この他にもPaco de Luciaの残したストーリーは挙げたらキリがないのでこの辺にしておきます。

次世代に引き継がれるPaco de Luciaの魂

片手に伝統、片手に革新」とはPacoが残した名言ですが、フラメンコという古くからの伝統を守り続ける一方、型にはまらずに次々と新しいことにチャレンジしていった精神は若手のフラメンコギタリストたちに大きな影響を与えたのは間違いありません。

フラメンコギタリストで言えばVicente Amigo、Tomatito、Juan Manuel Cañizaresなどの名前が思い浮かびます。
Pacoが築き上げた革新という名の壁はあまりに大きく、それを超える壁を作り出すのは容易なことではないでしょう。
現在活躍する多くのフラメンコギタリストたちにとっての「Paco後」はどう変わっていくのでしょう。

また、当然ながら南仏のジプシーミュージシャンたちにとってもPaco de Luciaは大きな存在でした。
Chico & the Gypsiesのリードギタリストとして活躍するKemaもまたPaco de Luciaに少なからず影響を受けた者の一人と言っていいでしょう。
彼の弾く「Entre dos Aguas」の即興演奏を聴くと、確実にその魂は受け継がれていると確信できます。

Kema Fino toto Skaya saintes-maries 2013

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