Gipsy Kingsアルバム早わかりリスト

ジプシールンバを語る上で「Gipsy Kings」の存在は欠かすことのできない存在。むしろ「Gipsy Kings」という一つのジャンルを確立していると言っても過言ではありません。

彼らはこれまで様々な楽曲を制作し、何枚ものアルバムをリリースしてきました。
しかしどの時期にどんなアルバムを出したのか、ちゃんと把握している人は少ないのでは。

そこで改めてGipsy Kingsのアルバムをリリース年代順にリストアップしてみることにしました。

様々なコンピレーションアルバムやベスト盤、中には海外で発売された海賊版的なアルバムも存在します。
その中で、大手レーベルより公式発表されたアルバムを年代順にご紹介します!

Gipsy Kings

1988年発売 全13曲
gipsykings
Gipsy Kingsのデビュー作として名高いアルバム。
ワールドミュージックのブームが巻き起こった80年代後半、パリコレで名曲「Bamboleo」が使用されたのが評判となり、メジャーへと躍進する切り札となりました。
このアルバムを引っ提げて1989年に初来日も果たし、日本でも多くのファンを生み出すきっかけとなりました。
アルバムには他に、時代劇「鬼平犯科帳」のエンディング曲としても使われた「Inspiration」や、タバコ(Lark)のCMに起用された「Bem Bem Maria」、フランク・シナトラの名曲カバーでNHKドラマ「バブル」主題歌としても使われた「A Mi Manera(My Way)」など、非常に聴きごたえのある内容となっています。

Mosaique

1989年発売 全13曲
Mosaique
前作に比べるとやや落ち着いた雰囲気のある曲が多いけど、カンツォーネの名曲で言わずと知れたキリン淡麗CMソング「Volare」や軽快でキャッチなーな「Soy」や「Niña Morena」、ジプシーの悲哀を歌った「Trista Pena」、アラブ風にアレンジされた聴きごたえ十分の「Viento del Arena」など、後々彼らの代表曲ともなる曲が目白押し。
フラメンコのBuleria形式で演奏され、アルバムタイトル曲ともなっている「Mosaïque」にも注目です。リードギタリストTonino Baliardoのフラメンコへの深い造詣とアレンジ力が光る1曲です。また同じく「Liberte」のドラマチックな展開は見事の一言。Toninoの実力を改めて知る1枚でもあります。

Este Mundo

1991年発売 全12曲
Este Mundo
勢いに乗る彼らの3枚目のメジャーアルバム。緩急様々なタイプの曲が収録されていますが、基本となるRumbaの精神はブレルことがありません。
ギターサウンドを重視し、リズミカルで底抜けに明るい1曲目「Baila me」は、その後ジプシールンバの代名詞と呼んでもいいほど多くのジプシーミュージシャンが好んで演奏するようになります。
ポップス路線を意識しつつも相変わらずギターと歌声にしびれてしまう「Sin Ella」や、日本でもMAZDA センティアのCMに使われたタイトル曲「Este Mundo」、美しいバラードの名曲「Habla me」などもおススメ。
なお、このアルバム発売前にバンドのキーパーソンでもありスポークスマン的な立ち位置だったChico Bouchikhiが脱退。

Djobi Djoba – Best of Gipsy Kings

1992年発売 2枚組 全20曲
Djobi Djoba
Gipsy Kingsがメジャーになる前に、ほとんどアコースティックという形でレコーディングされた伝説のアルバム。
もともと「Allegria」と「Luna de Fuego」という別々のアルバムを1つにまとめ、「Djobi Djoba」などの名曲オリジナル版を追加して日本で発売されたベスト盤。
レコーディングの際、マイクを一つだけ置いてその周りでメンバーたちがリラックスしながら歌い、弾くという方法がとられました。ギターと歌だけのシンプルな構成だけど、曲中、曲の前後などに自由にハレオが入り、パルマの鳴りも臨場感たっぷり。まさしくライブ感満載のアルバムです。
若々しく張りのある声のNicolasをはじめとしたボーカルの若々しさ、アコースティックだからこそ感じ取れるギターストロークとゴルペの重厚さ、まだ垢ぬけていないジプシー音楽の土臭さ、それら全てをたっぷり楽しむことができるおススメの1枚です!


Love & Liberte

1993年発売 全13曲
Love & Liberte
Chicoが脱退したあとのリリース第一弾。Gipsy Kingsの個性的な一人が抜けた後、どのような変貌を遂げるのか注目された1枚。
「No viviré」や「Madre mía」「Queda te aquí」「Navidad」「Campana」など、斬新だけど耳に残るメロディーラインの曲、アンニュイなレゲエ風の「Escucha me」、コーラスエフェクトを深目にかけたインストルメンタル曲の「Guitarra negra」など、やや実験的な色合いが強い。
しかしNicolasの歌声やToninoのギターは相変わらず健在で、バックミュージシャンとのグルーヴィーなアンサンブルがとてもマッチしており、新たな境地を築いたアルバムとも言えます。
カヌートの代表曲ともいえる名曲「Montaña」が聴けるのもこのアルバム。
カリブ海のメロディー打楽器、スティールパンを取り入れた「La quiero」も後にGipsy Kingsの定番ソングとなります。

Gipsy Kings Gratest Hits

1994年発売
Gratest Hits

Estrellas

1995年発売 
Estrellas
Chico脱退後も落ち目になるどころかますます勢いをつけるGipsy Kings。前回のような実験的要素は控えめに、直球ストレート的な大衆受けしやすそうなナンバーが多く含まれています。
定番曲の「Bamboleo」と「Djobi Djoba」が合わさったような「La rumba de nicolas」、新たな定番曲になりそうな「Igual se entonces」、古くからのルンバ曲をアレンジした「A tu vera」などが聴きどころ。
「Mujer」のピアノや「Siempre acaba tu vida」のフルート、「Mi Corazon」の弦楽など、ギター以外の楽器とのアンサンブルが楽しめる曲も聴きごたえ十分です。
なおこのアルバムはアメリカでは「La Tierra」というタイトルで発売され、しっとりとしたインストナンバー「Forever」の代わりに「Los peces en el rio」というクリスマスソングが収録されています。

Compas

1997年発売
Compas
メジャーデビュー10周年を迎えた今作。やや円熟味を増してきたボーカルとギターサウンドに加え、バイオリンやサックス、トランペット、フルートなど様々な楽器とのコラボレーションが特徴的です。
パーカッションにはエジプトやブラジルのパーカッショニストを迎え、アルバム全体に印象的な雰囲気を醸し出しています。リズムセクションは、これまで主流だったバスのきいたドラムではなく、これらのパーカッションがメインとなります。そのためポップ色が薄れ全体的にエスニック色が強くなっているので、音圧的な物足りなさを感じるかもしれません。
楽曲的には、過去の定番ソング「Baila me」を彷彿とさせる軽快なルンバ「A mi wawa」が一押しのナンバー。ボーナストラックのリミックスバージョンではオーストラリアの管楽器ディジュリジュを加え、ラテンともエスニックともつかないユニークさ、かつダンサブルなアレンジを楽しむことができます。
カヌートが歌うイタリアの民謡「フニクリ・フニクラ」を取り入れる辺りも、これまでにない独自性が感じられますね。

Volare! Very best of Gipsy Kings

1999年発売
volare

Somos Gitanos

2001年発売
Somos Gitanos
数多くのロックミュージックを手掛けて来たクリス・キムゼイをプロデューサーに迎え、4年ぶりに満を持してリリースされたスタジオレコーディングアルバム。
控えめな印象だった前作に比べ、全体的にリズムセクションをくっきりと打ち出し、しっかりとした音圧とクリアなギターサウンドを楽しむことができます。
楽曲ごとの緩急のバランスも絶妙で、耳に残るメロディーラインと飽きの来ない曲構成は秀逸。捨て曲なしのアルバムと、多くのファンから高い評価を得ているもうなづけます。
「我らジプシー」という名の通り原点回帰を宣言するかのようなアルバムタイトル曲から始まり、アルゼンチンの歌姫マリー・クレール・デュバルドの代表曲をカバーした「Magia del Ritmo」、アラブ楽器が特徴的な「Majiwi」、古くからあるルンバ曲を陽気かつアグレッシブなアレンジで生まれ変わらせた「Solo Solo Dire」など、どれも粒ぞろい。
スローバラードの「Quiero libertad」「Como un silencio」の他、インストルメンタルの「Felices días」「Flamenco en el aire」など、情景がイメージできるような美しい作品もおススメの聴きどころです。
メキシコ盤と日本盤にはレゲエの神様ボブマーリーの名曲「One love」のカバーが収められており、話題を呼びました。

Roots

2004年発売
Roots
アルバムタイトルに「ルーツ」を冠した今作は、まさに彼らの魂の根底に流れる音楽性を示した、ある意味原点回帰を果たしたと言えるアルバムです。
彼らのルーツとなる音楽。それは幼い頃から父親を始めとするファミリーやジプシー仲間の間で奏でられていた音楽なのです。それは例えば素朴なファンダンゴ(スペインのフラメンコ民謡)であったり、歌い継がれた古いルンバの曲であったり、飾り気の無い素朴でシンプルなジプシーの歌とメロディーです。

長年スタジオレコーディングでポップシーンを意識した音づくりをして来ましたが、もうやりたいことはやりつくしたと言わんばかりに、録音の段階からこれまでにない手法を取り入れています。
モダンで最新のスタジオ設備ではなく、レコーディングを行ったのはフランスの片田舎にある古い石造りの小屋の中。
この牧歌的な空間でギターとウッドベースという極めてアコースティックを重視したサウンドを作りあげました。余計な音が入っていない分、ギターと歌声が鮮やかさを増し、まるで目の前でライブ演奏をしているかのような空気感を全編に漂わせています。
とはいえ泥臭いという感じではなく、これまでに彼らが培ってきた音楽的アイデンティティを壊さずに生み出された、洗練された一つの形態とも言えます。
エネルギッシュだった80~90年代に比べ、明らかに深みと渋さが増したボーカルNicolasの歌声にも注目です。

The Best of Gipsy Kings

2005年発売
The very best of

Pasajero

2006年発売
Pasajeros
カマルグの自然の中でメンバー全員がテーブルを囲んで演奏を楽しんでいるモノクロの写真。それをジャケット写真に選んだ今作は、前作と同様に彼らの「ルーツ」を意識した作りなのかと思いきや、しっかりとベースやドラムなどが組み込まれたバンド風のサウンドに仕上がっています。
ただしかつてのようなビートのきいたアップテンポの曲は影を潜め、様々な楽器とのアンサンブルを随所に盛り込んだ、エスニック感満載のアルバム。そういう意味ではワールドミュージックの先駆者とも呼ばれたGipsy Kingsの本領が発揮されています。
バンジョーの音色とともにはじまり、キャッチーなサビメロが耳に残る「Si tu me quieres」を1曲目に、次々と様々な楽器を取り入れた楽曲が続きます。
南米の弦楽器チャランゴを取り入れた実験的な曲とも言える「Pueblos」、アルゼンチンのバンドネオンをフィーチャーしたインストルメンタルの「Canastero」「Recuerdos a Zucarados」、ホーンセクションを多用したラテン風ナンバー「Mira La Chica」など、個性的な曲がラインナップされています。
また、キューバを代表するBuena Vista Social Clubの代名詞とも呼べる「Chan Chan」をカバーしており、ドラムのビートとともにトニーノのギターオブリガートが全体に流れ、Gipsy Kingsならではのアレンジとなっています。BVSCのように年齢を重ねても音楽をやりつづけるのだ、と、そんな意気込みをアピールしているかのようですね。

Unplugged

2007年発売
Unplugged
Gipsy Kingsのこれまでの未発表曲や有名ナンバーの別バージョンが聴けるレアな1枚。アンプラグド(電子楽器を使わない演奏スタイル)というタイトルの通り全体的にほぼギターと歌のみのシンプルな構成で曲が構成されており、素のジプシー音楽とも言うべきGipsy Kings本来の持ち味が存分に楽しめます。
しかし全曲がアンプラグドというわけではなく、例えば彼らの代表曲でもある「Soy」の別バージョン。これは明らかにポップ路線を意識した電子楽器満載のアレンジとなっています。「Bamboleo」や「I Know」や彼らには珍しい3拍子の「Valse gitane」など、どこかノスタルジックな雰囲気を持つ曲が含まれており、とても美しいメロディーを堪能できます。
曲自体は80~90年代録音されたものですが、電子装飾に頼らずとも素晴らしい曲を作るGipsy Kingsの魅力を、改めて知るきっかけにもなることでしょう。


Savor Flamenco

2013年発売
Savor Flamenco
メジャーデビュー25周年を迎えた彼らの9枚目のスタジオレコーディングアルバム。
このアルバムを聴くと、ジプシールンバと言えばコレ!という固定概念はもはや過去のものと言わんばかりに、力まず自分たちの音楽を楽しむGipsy Kingsの「ありのままの姿」を知ることができます。

リズムづくりの定番だった四つ打ちバスドラムは抑えられ、ギターサウンドも割と控えめな印象。全体的に落ち着いた雰囲気の楽曲が多く、過去の彼らのアルバムを熱心に聴いていたファンは物足りなさ感じるかもしれません。
しかしそれはGipsy Kingsというバンドが持つ幅広い音楽性を存分に発揮した、ある意味完成された音楽とも言えます。
今作ではヨーロピアン、ジャズ、ラテン音楽などの要素が程よく散りばめられ、ワールドミュージックとしてのGipsy Kingsが評価され、2014年の同部門グラミー賞を見事に獲得しています。

年々声質が衰えているようにも感じるボーカルNicolasですが、それは衰えているというより、燃え盛っていた焚き火の炎が和やかな暖炉の火に変わったようなもの。魂のこもったいぶし銀の歌声は健在です。
そのNicolasがボーカル曲を全て担当しているのも特徴的。(これまではCanutやPatchaiなど複数人が担当していた。)
ドラマチックな展開の「Samba Samba」、軽快なテンポの正統派ルンバ「Corazon」「Me Voy」、ボサノバ風の落ち着いたリズムながらイントロと歌のメロディーの美しさが何とも心地よい「Bye Bye (Ella Me Dice Vay)」など聴きごたえのある楽曲がそろいます。
スローテンポの「Fairies Melody」とフルートやピアノが華麗に絡み合う「Tiempo Del Sol」はジャジーな雰囲気漂うインストルメンタル。ともにToninoの衰えないギターテクと彼にしか弾けないであろう哀愁の旋律と絶妙な「間」が見事です。

前述の通り様々な音楽の要素が埋め込まれたアルバムではありますが、フラメンコの一形式「タンゴ」で奏でられた「Savor Flamenco (Tango Flamenco)」をアルバムタイトルに掲げて、自分たちの音楽の源流はあくまでも「フラメンコ」だという意識をしっかりと表明しています。

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