ジプシールンバ奏法を学ぶ前に覚えておきたいフラメンコギターの基礎知識

Gipsy Rumbaのギター奏法の根底にあるのはスペインのフラメンコギター奏法です。はじめてギターを手にする人も、まずは基礎を固めてからGipsy Rumbaに挑んでみましょう。
ここではフラメンコギターで必要になる様々な奏法について紹介していきます。

セコ

ギターをストロークする際の最も基本となる手の動きです。簡単に言うと弦をジャーンと上から下へ(6弦から1弦へ)、あるいは下から上へ(1弦から6弦へ)弾き切る時の手の動きを指します。ポイントとしては指先をきっちり締めて、手首を軸にしてしなやかに手を振ることが重要です。

上から下へ(6弦から1弦へ)弾き切る。小指から人差し指に向けて4本の指で振り下ろすように。親指も後から振り下ろす場合もあります。

下から上へ(1弦から6弦へ)弾き切る。親指の爪を1弦から順に6弦まで振り上げるような形で。通常他の4本の指は使いません。

上記の手の動きを最初はゆっくり練習して、次第に早くしてみましょう。何の苦もなくジャカジャカとセコができるようになることがGipsy Rumbaを楽に弾くきっかけになります。

フラメンコギター セコ

ラスゲアード

最もフラメンコらしい奏法がこのラスゲアードです。ジャララランと端切れよく弦をかき鳴らす奏法です。フラメンコではいくつかのパターンで分類されていますが、ここではよく使う技を説明します。

4連(ジャラララン)

親指をベースとなる弦(例えば第6弦)の脇に添えて固定し、他の4本の指をギュッと握るような形にし、小指から順に人差し指までを順次はじき飛ばすようにして振り下ろします。フラメンコではこれに応用を加えて11連(ジャララララ・ジャララララ・ジャン)というやり方もありますが、Gipsy Rumbaでは必要ありません。しかし鍛練する意味でもフラメンコの奏法をマスターしてもいいでしょう。

フラメンコギター ラスゲアード

3連<通常>(ジャララ・ジャララ・ジャン)

親指で弦を下から上へ(1弦から6弦へ)振り上げ、そのまま他の4本の指で上から下へ振り下ろし、その後を追うように親指も上から下へ振り下ろします。この動きを最初はゆっくり、次第に早くしてみましょう。この時、手首を軸にしてしなやかな動きになるよう心掛けましょう。

フラメンコギター 3連ラスゲアード

3連<高速>(ジャラララララ・ジャラララララ・ジャン)

上記の通常3連の2倍速で手首を振り動かすことによって、他のギター奏法では不可能な音色を奏でることが可能になります。通常3連を次第にスピードアップさせ、同じ拍数で、2倍の音数を響かせることで極めてフラメンコらしい(Gipsy Rumbaらしい)音色を表現できるようになります。自由にこのラスゲアードができれば、曲の演奏中に「オカズ」として組み入れたりして、楽しさもアップすることでしょう。

フラメンコギター 連続3連ラスゲアード

上下3連(ジャダダダダダ・ジャダダダダダ・ジャン)

親指と人差し指(あるいは中指)をつまむようにして6弦~1弦までを勢いよく上下にかき鳴らし、3連音を生み出す奏法。
↓↑↓・↑↓↑・↓↑↓・↑↓↑・↓(あるいは下から↑↓↑・↓↑↓・↑↓↑・↓↑↓・↑)これを上記の3連<高速>と同じ速さで弾くことで、より力強い3連音をかき鳴らすことができます。

連続3連ラスゲアード 強

※最後の方ちょっと拍があってないようでスミマセン。

Chico & the GypsiesのリードギタリストKemaは、この奏法を使って同一コードでテンションを変えて独特な音色を作りだしており、別名ケマ風3連ラスゲアード(略してケマゲアード)と勝手に呼んでいます。

追記 3連というよりは四分音符一つで6連となりますので、仮に「強6連ラスゲアード」と呼ぶことにしました。
詳しくはこちらの投稿をご覧ください!

参照 実践!強6連ラスゲアード~ジプシールンバの特徴的な奏法の一つ

ゴルペ

フラメンコではセコやラスゲアードが重要だと言われますが、Gipsy Rumbaの場合は、このゴルペが何よりも大事かもしれません。
ゴルペとは、セコをする時など同時にギターの表面板やボディーの部分を叩いて、パーカッションの効果を生み出すことです。Gipsy Rumbaの基本リズムである2拍子のところどころに幾つかの種類のゴルペ音をならします。
ここではゴルペの基礎となる叩き方を紹介します。

薬指で表面板を鳴らす(1)

親指で弦の上から下へ(6弦から1弦へ)弾き下ろす時に、同時に薬指(あるいは小指)でギターの表面板を叩く方法です。それほど大きな音は出せませんが、割と基本となるゴルぺです。

薬指で表面板を鳴らす(2)

親指をベースとなる弦の脇に添えて固定し、人差し指だけで上下にセコを行う際、人差し指を上から下へ弾き切る時、同時に薬指(あるいは小指)でギターの表面板を叩く方法です。上記同様それほど大きな音は出せません。フラメンコのBuleriaなどの形式ではこのゴルペは重要視されますが、Gipsy Rumbaの場合はそれほど重要では無いかも知れません。

親指でボディーを鳴らす

小指から人差し指までを上から下へ弾き切る時、同時に親指を使ってボディー(6弦の少し上当たりの位置)を打ち鳴らす方法です。この時注意する点は、手首を軸にして、軽やかに弧を描くようにして親指をボディーに打ち付けることです。親指の爪の左側、腹になっている部分をカン!と端切れよく鳴らしてみましょう。このゴルペはフラメンコではほとんど用いられませんが、Gipsy Rumbaでは、極端な話、一番重要かもしれませんので、しっかりマスターしておきましょう。

手の平全体(正確には人差し指~小指+手の平)で表面板を打つ

これは、セコとは分離させて、単一にゴルペ音を発生させます。やりかたは簡単。4つの指を含む手のひらをバン!とボディーに打ち付けるだけです。このゴルペとセコをうまく組み合わせて、Gipsy Rumbaらしいアクセントをつくり出すことが出来ます。

中指でボディーを打つ

「デコピン」を思い出して下さい。そうです。親指で中指を引き止め、力を加えてバシッ!と中指をはじき出す方法です。この中指をはじき出すと同時に弦を上から下へジャーンと弾き切ることで、より強力なアクセント音を生み出すことができます。これはフラメンコでもよく出て来ますが、Gipsy Rumbaの場合は、この方法を使って、ゴルペ音のみで「ンカッカッカッカジャッ!」と表現することもあります。例えば1人が表拍を、もう1人が裏拍を鳴らす等して、非常にインパクトのある打撃音を表現することも可能です。

カッティング

セコすると同時に弦全体をミュートして、音を遮断する方法です。小指~人差し指でセコすると同時に手のひらで弦を覆うようにしてミュートさせる方法と、同じようにセコをして親指の付け根の部分を弦全体に押し付けるようにしてミュートさせる方法があります。
ルンバのストロークを繰り替えしながらカッティングを組み入れる場合は、後者の方がやりやすいかも知れません。

ピカード

ここからは和音ではなく、単音を出す際の技を紹介します。
ピカードは人差し指と中指(あるいは人差し指と薬指)の2本を使って、交互に弦をつま弾く方法です。
エレキギターやスチール弦ギターなどではピックを使うことが一般的ですが、クラシックやフラメンコギターでは指を使います。特にフラメンコギターの場合、いかに早くつま弾くことができるかが、上達のカギにもなります。
コツとしては指先の第2関節以上にだけ力を集中させ、腕等には余分な力が入らないように、ピアノの鍵盤をポンポン打鳴らすような感覚で弦を弾くことがポイントです。
慣れてくると、信じられないようなスピードで弾くこともできるでしょう。ただし、一つ一つの音がはっきりと聞こえるように、力強く音色を発生させることが大切です。

アルペジオ

親指+人差し指・中指・薬指を使って、弦を交互につま弾く方法です。これはGipsy Rumbaやフラメンコに限らず、ギターの一般的な奏法ですが、フラメンコなどではこれに力強さとスピードが要求されます。
ギターの名手、Manitas de Plataなどは不可解かつ神憑かり的なスピードでアルペジオを奏でることで知られていますが、もはや一般的ではなく、あえて練習する必要はないと思いますが、挑戦する価値はあるでしょう。

アルサプア

親指でベースとなる弦(仮に6弦とします)を弾き、アポヤンドした状態から他の弦(5弦以下)を上から下へ勢いよく弾き切り、その後にまた親指の爪の部分で下から上へ弾き返す方法です。音色的には3連の響きです。フラメンコでは非常に重要な奏法ですが、Gipsy Rumbaでもリードギターなどで多用されます。

トレモロ

親指でベースとなる弦を弾き、薬指と中指と人差し指を使って、特定の弦を3連(あるいは4連)で弾き鳴らす方法です。
クラシックの名曲「アランブラの思い出」などが有名ですが、フラメンコの様々なギター曲にも多用されます。しかしGipsy Rumbaではそれほど重要視されるものではありません。
リズムが2拍子系なので当てはめづらいという点があるかもしれませんが、逆に、Gipsy Rumbaのリズム的特徴を活かして、曲中にうまく組み入れている場合も稀にあります。
やはり、ギターの名手、Manitas は3連(あるいは4連)となる音色を和音(2つの音を同時に発生)にしてしまっています。これも超絶過ぎて、解明できません。

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