ジプシールンバって何?【4】他ジャンルの音楽との融合

フラメンコとジプシールンバ、両者の音楽性の違いを別の切り口から見てみると、また違いが明確に表われていて興味深いです。
最も分かりやすい切り口は、各々が他のジャンルの音楽とどのように結び付いているか、という観点から眺めることです。

フラメンコが結び付いている、交流があるジャンルはジャズ・フュージョンであり、クラシックででしょう。

Paco de Lucia*1)がスーパーギタートリオ*2)に参加して活躍したり、最近はTomatito*3)がジャズピアニストのMichel Camiloとアルバムを製作したりという事例が有名です。

クラシックはVicente Amigo*4)がオーケストラ用クラシック曲のポエタを自作自演したり、Paco de Luciaが演奏した「アランフェス協奏曲」などがあり、Paco Pena*5)などは世界的クラシックギタリストのJhon Williams*6)とコラボレートアルバムを数枚発表しています。

Paco De Lucia

Spain (Michel Camilo & Tomatito)

Vicente Amigo con la Orquesta de Córdoba dirigida por Joan Albert Amargós

Paco de Lucia Concierto de Aranjuez Part3

対してジプシールンバはどうでしょうか?
結び付く相手はポップス、ロックなどがメインです。

まずGipsy Kingsの代表曲のようになっているVolareはそもそもイタリアのカンツォーネです。
また、A Mi Maneraはフランク・シナトラが歌っていたMy Way(シナトラもカバーだが)です。

他にジプシールンバでカバーされているものとしては、Hotel California(イーグルス)や、Long Train Runnin(ドゥービーブラザーズ)、Pretty Woman、White Christmasや聖しこの夜、レゲエのOne Love(ボブ・マーリー)などまでやっています。
他にもI will Survive(グロリア ゲイナー)をやっていたり、過去のChico&the Gypsiesのアルバムには一青窈の「もらい泣き」がしっかりジプシールンバで演奏されていました。
最近ではラテンアレンジのダンスチューンでヒットを出しいてるフランスの歌手LucenzoとChico & the Gypsiesのコラボも注目を集めてますね。

Gipsy Kings – Volare HD

Gipsy Kings – A Mi Manera (Live at Royal Albert Hall)

Gipsy Kings & Ziggy Marley – One Love

Chico & the Gypsies et Collectif Métissé à Nimes

フラメンコはジャズ、フュージョン、クラシックなどのインストゥルメンタル曲、ジプシールンバはポップス、ロックなどの歌モノとやはりそれぞれの性質に合った音楽と繋がるようです。

  • *1) Paco de Luzia(パコ・デ・ルシア)
    世界的に知名度、実力ともに並ぶ者のないフラメンコギタリスト。フラメンコギター界の今日における発展はパコなしではありえなかった。フラメンコの枠のみに留まらず、アル・ディメオラ、ジョン・マクラフリンらフュージョンギタリスト達とスーパーギタートリオで活躍したりクラッシックのホアキン・ロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」をオーケストラを従えてロドリーゴ本人の前で演奏するなど、他ジャンルとの交流、融合にも非常に意欲的である。近年は歌い手に、ベース、パーカッション、踊り手を伴ったセクステットを組織し、世界各地でコンサートを重ねる。
    意外なことにGipsy Kingsのメンバーとは大昔(少年期)から知り合いで、仲が良いということである。
  • *2) スーパーギタートリオ
    ジャズ・フュージョンギタリストのアル・ディメオラ、ジョン・マクラフリン、フラメンコギタリストのパコ・デ・ルシアらが1980年代初頭に結成したトリオグループ。
    メンバーがラリー・コリエル、ビレリ・ラグレーンに入れ替わったりした後、自然消滅(活動休止)状態にあったが、1995年頃に突如復活した。しかし、最近は表立った活動はしていないようである。
  • *3) Tomatito(トマティート)
    スペインのアルメリア出身のフラメンコギタリスト。1970年代末期から有名なカンタオール、カマロン・デ・ラ・イスラと活動を共にし、各地のリサイタルやフェスティバルに参加し好評を得る。その他もPaco de Luziaなど有名なアーティストとの共演を重ね、1980年代末期からソロ活動を始める。幾つかの優れたレコードを発表し、やがて他ジャンルのミュージシャンとの融合を試みるようになる。ジャズピアニストのミシェル・カミーロとの共演はあまりにも有名である。発表したアルバム「Spain」はラテングラミー賞をも受賞した。また、トニーガトリフ監督作品「Vengo」にギタリストとして出演するなど、活動は多岐に渡る。
  • *4) Vicente Amigo(ビセンテ アミーゴ)
    幼い頃Paco de Luziaがギターを弾く姿を見て、ギタリストを志す。有名なギタリスト、マノロ・サンルーカルらに師事し、類い稀な技術でやがてPacoの後継者とも呼ばれるようになるが、そのギター奏法はフラメンコの伝統スタイルにモダンなテイストを加え、繊細で力強い。ソロアルバムではトランペットやベースを巧みに取り入れた「魂の窓」やフルオーケストラで一大叙事詩をギターで語る「Poeta」が有名。
  • *5) Paco Pena(パコ ペーニャ)
    スペインのコルドバ出身のフラメンコギタリスト。1963年にロンドンに移住し、クラシックギタリストのジョン・ウィリアムス等と共演。数多くのレコードも発表する。
  • *6) Jhon Williams(ジョン ウイリアムス)
    現代クラシックギター界を代表するオーストラリア出身の世界的クラシックギタリスト。現代クラシックギター界の祖、アンドレス・セゴビアに見出され(クラシック)ギター界のプリンスと呼ばれる。人気、実力ともに並ぶものは無いと言っても過言ではない。しかし活動範囲はクラシックにとどまらず、フュージョン、フォルクローレ、フラメンコらのミュージシャン達とも積極的に交流し、共演、共作している。
    余談だがジョンの父親はプロのジャズギタリストで、しかもジャンゴ・ラインハルトのマニアであったと言う。

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