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2003年11月29日
銚子ディナーショー
夏ごろだっただろうか。ボーカルのケイジがメールで「11月末に銚子でディナーショーがあるので予定を空けておいて」とメンバー全員に通知した。
今回の話を持ってきたケイジによると、「話をつないでくれた人が電話口でいつも酔っ払っていて詳しいことが分からない。」ということなのだが、とにかく銚子という町で、あるバンドのディナーショーがあり、その前座として出演する、ということらしい。そして遠方なので1泊の宿なども用意してくれているらしい、ということも予め分かっていた。しかしどういうところで何をどうするのかがさっぱり分からないまま、予定の日を迎えざるを得なかった。
今回参加のメンバーは、ケイジ、ルイス、ティノ、ペリー、パコ、ディエゴの6人。何せ目的地が遠いので車や電車を駆使していかなくてはならず、ちょっとした綿密な予定を立てたりもした。しかも集合時間が朝の11時ということで、比較的早い時間に出発する必要があった。
みなそれぞれの手段で現場へ向かうのだが、私ルイスは車で出発し、ティノとディエゴを途中で拾ってはるばる千葉県の最東端方面をめざした。しかし地図を見ていると目指すところはどうやら「銚子」ではなくて、その近隣にある「旭」という町だということが判明した。まあ土地の知名度などから便宜上「銚子ディナーショー」と名づけられていただけで、実際は「旭市でのイベント」ということだ。例えて言うなら、「綾瀬市にあるのに厚木基地」みたいなものか。
中央高速から首都高速、湾岸線へ入る。あいにくの雨で景色なども不明。あまり旅情というものが湧かなかった。途中でレインボーブリッジを渡ったが、男3人で霧と霞に包まれた東京湾を高いところから眺めてもなんのインスピレーションも湧かなかった。
さらに、成田空港などへ通じる東関東道などを経由して一般道へ入り、なんとか11時に現場へ到着することができた。
会場と思われるその場所は「グランフェスタ」という結婚式場だった。他のメンバーも前後して到着し、とりあえず控え室に通された。この時点でも何をどうするのかがさっぱり分からなかった。
しばらくすると今回のイベントでメインで演奏する「バンド」の担当者が現れた。軽く挨拶を済ませ、会話をしていくうちにようやくイベントの全貌が明らかになった。
「バンド」といってもメンバー数人のロックバンドなどではなく、いわゆるジャズのビッグバンドらしく、その名も「マリーンズ」。プロ野球チーム・千葉ロッテマリーンズの応援団なども兼ねているらしく、20名ほどのバンドメンバーはみな地元がらみの人たちだということだ。
またイベントの後援としてロッテなどの企業も絡んでおり、会場ではキシリトールガムなどが無料で配られていたりした。どうやらかなり本格的なディナーショーらしい。
全3部で構成されるディナーショーの2部として我々GGが出演の場を与えられていた。会場となる大広間を見やると、10人ほど座れるテーブルが20個以上。つまり200人以上の客が来るということだった。
また、宿泊や食事等、予想以上のもてなしぶりに非常なるありがたみを感じた。ただ、待遇が良すぎると逆に恐縮してしまい、妙な緊張ムードが漂ってしまう。こういうことは思わぬプレッシャーになりがちだが、今回マリーンズの渉外役である鈴木さんから「来るお客さんはみんなノリノリだから」という話を聞いて、気も幾分楽になった。最初はジャズを聞きに来る熱心なマリーンズファンばかりなのかと思ったが、そういうことでもなく、結構気楽に出来そうだと察した。いい意味で気の緩みにもつながった。
ふと一枚の紙切れが視界に入った。見るとそれはこの結婚式場の今後の予定などを伝えるチラシだった。その片隅に「マリーンズディナーショー」と書いてあったが、その下には「スペシャルゲスト:ジプシーグローブ」と何の迷いも無くプリントされてあった。うーん、惜しい。我々はジプシーグルーヴである。まあ、呼び方なんてどうでもいいんだが。
さて、リハーサルの時も少しPA・音響関係で意思の食い違いがあった。何をどう間違ったか、音響担当の人が我々のことを「控えめなバンド」という風に聞かされていたらしく、マイクやギターのボリュームを控えめにしたがっていたのだ。音響チェックをしていくうちに彼もその誤りに気づいたらしく次々にモニタースピーカーなどのボリュームを上げてくれた。「全然控えめなバンドじゃないじゃないですか!」と半ばキレ気味に言われたが、推測するに、「控えめな人たちがやる激しい音楽」というのを聞き違えたんじゃないかとも思った。それならば間違ってはいない。
なんとかリハーサルも終え、あとは本番を待つのみだ。控え室で思い思いに過ごすメンバーたち。せっかくメンバーがある程度そろっているのだから全体練習などすればいいのに、世間話やら昼寝やらギターでの遊びやら相撲の四股踏みとかで時間がつぶされた。おまけにビールなどを持ち込んで軽いほろ酔い状態に。下手に鬼気迫って練習するより、気を楽にして、ゆったりムードで時を過ごすことが本番演奏を充実させる秘訣でもある。
夕方の6時にマリーンズの演奏開始、と聞かされていたのだが、一向に始まる気配は無い。会場には既にたくさんのお客さんが群れをなしていたが、演奏はまだのようだ。それなりにスタンバっていたGGメンバー達も今か今かと待っていたのだが、「演奏は7時からなんじゃないか?」と勝手に判断を下し、もう少しゆっくりすることにした。
やがて7時を回り、予想通りマリーンズの演奏がスタートした。最初にお客さんに食事をしてもらう時間というのも必要なんだなと、後になって理解したメンバー各位であった。
マリーンズの演奏はまるで「ルパン三世」のテーマ曲のようにジャジーで大人びた「完成させられた」音楽であった。それに対して、荒削りで土臭い「完成なき」ジプシー音楽が合うのかどうかは謎だが、言ってみればカレーにおける福神漬けみたいなものなのかも知れない。何をするにしても、合間に違ったテイストを与えることが客を飽きさせない方策の一つだと何かの本に書いてあったが、GGもそんな役目なのだろう。
マリーンズの演奏が終了し、会場に足を踏み入れると目の前にはたくさんのお客さんが。結婚式の披露宴などでもかなりの人数を目の前にして演奏したことがあるが、今回はまた盛大だ。しかし幸いにもお客さん方に適量のアルコールが注入されている模様で、会場全体がある種の活気に満ちていた。
PAセッティングに多少の時間がかかってしまい、遠方より「ハヤクヤレー!」とのヤジ的勧告がかかる。しかしそれも束の間。勢いのいいジプシールンバを突拍子も無く始めると、一瞬会場もびっくりしたようだが、すぐにノリノリムードへと転換するに至った。
よくエンディングの方に演奏していた「Bamboleo」を最近は最初のほうに持ってくるようにしているのだが、今回もそんなこんなでツカミはばっちり成功。勢いに任せて得意のナンバーを順次繰り出していく。
「Volare」あたりをやると奥の方から突然乱舞しながら迫り来る男女が。おそらく何らかの舞踊に心得のある二人なのだろうが、それをきっかけにして会場のあらゆる部分から我慢しきれなくなったお客さんたちが次々にステージ前へ集結し、様々な踊りに夢中になり始めた。
当然このような光景を目の当たりにしたGGメンバーは「火に油」状態。盛り上がりも絶頂に達した。「Gipsy Road」や「Querencia」などのオリジナル曲もからめて、その後に福神漬け的役目の「A mi manera」(マイ・ウェイ)を演奏した。演奏が終わると同時に花束を持った女性が出現し、ケイジに立派な花束が約3束手渡された。こんな扱いは始めてである。うれしいことこの上なしだ。しかし、花束贈呈などは通常一番最後に発生しそうな事態だが、この曲が最後だと勘違いされたのだろうか。セットリスト上はまだ3曲ほど残っていた。
勢いを崩さず最後まで演奏し、熱気に包まれたままGGの舞台は終了した。メンバー紹介などを一通り済ませて、余韻を残したまま撤収作業をしていると、どこからとも無く「アンコール」の声が。前回のカレッタ汐留に続いてまたしても他発的アンコールだ。うれしいのは山々なのだが、ゲストである我々がこんなことになってしまっていいのであろうか?とメンバー内で数秒のミーティングを行い、指示をマリーンズの担当者に仰ぐことにした。すると二つ返事でOK!GO!のサインが。
再びステージに上がるとこれまた盛大な拍手と歓声が沸き起こってしまった。微妙な気分だが、うれしいことには変わりなかった。
アンコールに応えてGGのオリジナル曲「Ole y Ola」を力の限り演奏し、これでようやく出番は終わった。控え室に戻り、興奮さめやらぬままビールで乾杯!・・・しかし、ここで終わりではなかった。
第3部に再びマリーンズのゴージャスな演奏があり、その最後のアンコールの時にもう一度GGがひょっこり登場するという手はずになっていたのだ。今度はマリーンズと一緒に演奏するという水面下の計画を実行しなくてはならなかった。曲は「Vamos a Bailar」。当初はブラスバンドをバックにものすごいことになりそうだと期待していたが、何でも、譜面が間に合わなかったとかで、セッションはドラムスだけになってしまった。それでもまた違うノリにお客さんも大満足。セッション後、ラストにまたマリーンズによるムーディー&エレガントなジャズが奏でられ、幕は閉じられた。
何がなんだかわからないまま始まった今回のライブだが、終わってみれば大成功だった。ディナーショーにゲスト参加というのは初経験であったが、とにかく基本的にはノリは一緒。会場の広さやお客さんの数なども多少は関係してくるかもしれないが、音楽の「ノリ」を楽しみ、盛り上がっていく様はどんなときでも一緒だ。今回のライブで更なる自信を得たGipsy Groove。果たして今後の運命やいかに?!
余談だが、冒頭に出た「ケイジに今回の話をつないでくれた人」というのは、実は以前に千葉県幕張における結婚式で演奏した時の新郎だった人である。(レポート#31参照)一つの出会いがまた新たな出会いを生み、更にそこからまた別の出会いが・・・。これもバンド活動をしていく上で大きな財産となりうることだ。
投稿者 gipsygroove : 2003年11月29日 22:46
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