2002年09月08日

全国バンド自慢コンサート&恵比寿の夜

何気なくインターネットのホームページを見ていた。何を検索したのか忘れたが、画面にはいつの間に「NHK全国バンド自慢コンサート」の募集サイトが表示されていた。考える間もなくすぐに応募体制に入った。汚い文字で必要書類をそろえ、ライブの映像、写真などを封筒にまとめ郵送した。

約1ヶ月後、便所で用をたしている時に電話は鳴った。結果、合格!なんとなく予感はしていたが、まさか採用されるものは思っていなかった。聞くと全国290組のバンドの中から選ばれた13バンドの1つだという。しかもテレビ放映もされるというからただ事じゃない。
このコンサートはあくまでも「コンテスト」などではなく、様々なジャンルで活動する全国のバンド野郎たちの祭典である。過去3回行われたこのコンサートの前例を見ると、ベンチャーズやビートルズ、ビッグジャズバンドからハワイアンまで幅広いジャンルのバンドが参加していた。まさに何でもアリのコンサートなのである。そういう意味では我々GGは「ジプシーキングス」のコピーバンドとして他に例のないバンド。コンサートを企画する側から見れば格好のネタにもなる。まあ、どんな裏事情があるのか知らないが選ばれたのは事実。曲目も1曲だけだが全力を尽くすのみだ。

本番の日が近付くにつれ、いろいろ書類が届いた。その一つに「台本」なるものがあった。これを見た瞬間、「まあ、いつものように気楽にやればOKだろう」という不埒な考えが吹き飛ばされた。中を見ると細かいタイムスケジュールと各バンドについての詳細な進行表、驚いたことに演奏曲目の歌詞全てとそれにまつわる情報(作詞作曲者や曲の構成、拍数など)が全て記載されていたのだ。
「この通りやれ」というのか。さすがテレビ。甘くはない。企画側の意気込みも感じられる。我々の演奏曲は「Bamboleo」。書類提出の時「歌詞を正確に記入して下さい」という項目があり、私(ルイス)は適当に汚い文字で1番だけを記入して送ったのを思い出し、少々恥ずかしさを覚えた。

本番前日リハーサルが行われるため会場である恵比寿のガーデンホールに向かった。今回出場できるメンバーはギターのカマロン氏以外全員。こんなに丸ごとメンバーが出席できる機会も珍しい。しかしリハーサルには重要なポイントであるリードギターのティノとカホンのマサティートが欠席。PAスタッフの意向でこの日は立ち位置確認とマイクセッティングの確認だけにとどまった。メンバーが多い上、ギターは全員アコースティックなのでバランスが難しいのだ。スタッフは、メンバーが欠けている中で変に情報を残してしまうと余計に混乱するという。まったくPA泣かせのバンドだ。急きょ翌日の昼に全員が集まったところでリハーサルを行うことに決まった。

さて、本番当日9月8日。早めに恵比寿駅に集合し、大体揃ったところで会場へ。遅刻してくるメンバーもいたが、「ジプシーだからしょうがない」という適当な言い訳にもみな納得してしまうところがよろしい。本当はよろしくないが。
会場には他の12のバンドが既に店を広げていた。中年ロック系、 若年J-POP、大型ソウルバンド、高齢ハワイアン、ブルーグラス、サイモン&ガーファンクル・・・など様々だ。中でもビジュアル系のデーモン閣下率いる例のバンドが目を見張った。バンド名もずばり「G.G.G.」という。何かの縁か、うっかり一緒に記念撮影。

メンバー揃ってのリハーサルも無事終了し、あとは本番を待つのみ。徐々に緊迫した空気に包まれていく。
午後3時、開場。あらかじめバンド毎に配付された招待券をばらまいていたので、メンバーの知り合いも客として多く訪れていた。30分後、いよいよ開演。司会のNHKアナウンサー松本さんの挨拶ではじまり、審査員の山瀬まみ、渡辺香津美、宮川泰の三氏が紹介され開場は盛り上がっていた。

最初のバンドはキャロルのコピーバンド。ファンキーモンキーベイベーが流れる中、3番手である我々GGもステージ横に移動。リラックスしつつもどこか緊張ぎみだった。待機しているとテレビカメラがやって来た。「演奏前に何かコメントを」と迫られた。普段はおとなしい我々からは乙な返答は出てこない。無理に円陣を組まされ、無理に威勢をあげる。とっさのアドリブも要勉強だなと考えている内にもう出番だ。
リハ通りセッティングを済ませ、松本アナの紹介を待つ。そしてやっと演奏開始。
メンバー全員いつも以上のハレオ。安定したリズム、そして私はかなりカメラ目線。PAのおかげもあるが落ち着いた演奏ができた。一度口火を切ればあとはノリノリであっという間に1曲を終えた。これほど意気込んだバンボレーオも珍しい。
この後審査員の辛口コメントが待っているかと思ったが、「ジプシーキングス」という特殊なバンドのため、控えめなあっさりとしたコメントでほっとした。作曲家の宮川氏からパルマの裏打ちをもう一度見たいという要請があり、ケイジとサヤは息のあったパルマを披露するなどした。ギタリストの渡辺氏からも暖かいコメントを頂き大変励みになった。

こうして無事出番が終わり、あとは他のバンドが演奏していくのをのんびり眺めつつエンディングを待つだけとなった。しかしどのバンドも上手だ。ジャンルは違えど皆その音楽に対する情熱を持っている。改めて音楽のすばらしさというものを実感した。
全バンド演奏後、エンディングでは各審査員の気に入ったバンドを表賞するイベントがあった。これはテクニック的にどのバンドが優れているのかという判定ではなく、あくまでも審査員の好みのようだ。GGは敢え無く賞を逃した。まあ、結果はどうあれ良い経験となる1日を過ごすことができた。

会場を後にし、何か物足りなさを感じた。そうだ、1曲しか演奏してないではないか!不完全燃焼だ。消化不良だ。
瞬間、ストリートライブを敢行すべく、恵比寿ガーデンプレイスへ繰り出していた。
夜の麗しき雰囲気漂うフランス料理店の真下でギターケースを広げ、おもむろに演奏開始。ギャラリーもすぐに集まって来た。晩夏の涼風も心地よい。しかし現実は厳しい。
すぐに警備員が飛んで来て演奏中止命令が下された。すかさず荷物をまとめて次の場所へ。早い。
今度はオープンカフェばりばりのビヤステーション目の前で演奏。一応店の責任者に確認したところ「店の外なのでなんとも言えない」とのこと。ならば演奏開始だ。
My Way とVolareを演奏。このビヤホールはサッ○ロビール系なのでVolareはまずいかなと訝るもののかまわず演奏。見ていた客からは歓声が上がった。しかしすぐに警備員が飛んで来た。
ガーデンプレイスの警備員から迫害され、次は道路を越えた場所で演奏。ここなら問題ないと力の限り演奏。オーディエンスもかなり集まって来た。恵比寿というだけあって外国人も多く、いっそう盛り上がった。
再びVolareを演奏しているところでまた警備員が飛んで来た。御苦労様です。ケイジはそんな警備員を前にしても最後まで歌い通した。しかしそこで演奏ストップ、周囲から発せられるブーイングが警備員に向けられた。いつも御迷惑かけます。
演奏を見ていた人たちともちょっとしたコミュニケーションが持て、気分よく1日を終えることができた。バンド自慢コンサートよりストリートの方が印象深いものがあった。やはりGGはガチガチに固められて演奏するより外気を吸ってノビノビやる方が性にあっているのかもしれない。

投稿者 gipsygroove : 22:34 | コメント (0) | トラックバック